どうも、ミツヒコ(@monotolife)です。
コロナ禍で急激にニーズを増したオンライン配信環境。ここ数か月は、どの装置も軒並み品切れでしたね。僕も悩みに悩みました。
ミラーレスや一眼を利用した高画質のビデオ配信で重要なのが、ビデオキャプチャー。今までは一部のゲーム実況者くらいにしか需要はなかったはずが、コロナ禍で一転。そこに現れた救世主が、ブラックマジック デザインの ATEM Miniでした。
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以前からあった安価なものでも2万円程度するビデオキャプチャー。
そして、高額になると30万円。
そんななかで丁度良い値段だったのが、今回紹介するBlackmagic Design ATEM Mini。お値段なんと4万円で、かなり高機能を備えています。
今回は、仕事としてオンライン配信を行った際に使ったBlackMagic DesignのATEM Miniについて、使ってみると機能不足だったことや、結局ROLANDのV-8HDが最強と分かったことについて書いていこうと思います。
目次:
- 必要十分な機能のATEM Mini
- かゆいところに手が届かない
- ATEM Mini Proの利点
- 結局はRoland V-8HDが最強
- さいごに
1. 必要十分な機能のATEM Mini
改めて、僕が配信の最適解だと思って購入したのがBlackmagic Design のAtem Miniです。
配信をする上で特に重要になるのが「①マイク入力」「②カメラ切り替え」「③PinP」の3つだと思っていて、それぞれの説明をすると
①マイク入力:別のマイクから映像に入力する機能(2系統入力可能)
②カメラ切り替え:複数のカメラを滑らかに切り替える機能(4台まで入力切替可能)
③PinP(Picture in Picture) :映像の中に、小窓で映像を入れる機能(テレビ番組のワイプ)
これが、Blackmagic Design のAtem Miniにはすべて含まれています。そのうえで値段が4万円を切るから、価格破壊がすごい。ここ数か月は需要が多すぎて数か月待ちでしたが、公式サイトであれば1か月待たずに購入できました。
今までなら10万円を優に超えていたビデオスイッチャーというカテゴリーで、明らかに革命。HDMIを4本させる上に、HDMIとUSB-Cで出力にも対応しています。さらに、③のP in Pにも即時対応できるのがうれしい。
PinPボタンを押すと、自動でHDMI1に入力されている映像を四隅のどこかに選んで配置できます。
ただし、表示にフェードインなどおしゃれなエフェクトはかけられません。あと、サイズや場所の調整はPCからソフトを立ち上げて操作しないといけないのも難点。
ということで、使っていくと絶妙に「足りない」箇所が出てきました。
2. かゆいところに手が届かない
ATEM Miniを使っていて特に致命的だった機能が次の2つです。
①各カメラのモニタリングができない
②HDMI出力が弱くプロジェクター出力ができない
①各カメラのモニタリングができない
実は大きなデメリットがこれ。詳細は後述しますが、ATEM Mini Proには内蔵されている機能です。この機能がないことで、「接続している4つのカメラ映像はどうなっているか」が実際に画面を切り替えて写すまでわかりません。
どういうことかというと、使っているカメラで万が一電源が落ちたりフレームアウトしていてもわからない。これが、実は一番の欠点でした。
オンライン配信では必要な「人」や「映像」をその瞬間に選ばなければならず、もし映像信号がなかったり別の場面を映したら放送事故になってしまいます。そうなると、Atem Miniはあくまで個人利用にしか使えないと思いました。ATEM Mini Proを買っておけばよかったと後悔した点です(納期が2~3か月でしたが…。)
②HDMI出力が弱くプロジェクター出力ができない
実際に現場で利用して気づいたのが、HDMI出力について。
使用しているDELLのディスプレイやTVでは正常に動作するのですが、いくつかのプロジェクターに繋ぐと映像が出力されませんでした。他の機材やパソコンからHDMIでプロジェクターに繋ぐと表示されたので、出力不足だと推測されます。
装置によって出力レベルは違うとはいえ、プロジェクター2機種を繋いでどちらも未入力扱いには困りました。配信設営の際に実害があったので、今後使えない可能性があります。環境によっては表示できないって、致命的ですよね。
以上2つが、特に大きな問題点です。
3. ATEM Mini Proの利点
ATEM Miniから①の「マルチモニタリング機能」を追加したのが、ATEM Mini Proです。もちろん他の機能も追加されていますが、値段が倍になったATEM Mini Proで僕が必要だったのはカメラのモニタリング機能追加のみ。
結局購入して、ATEM Miniと交換することにしました。納期は2か月弱。しかし、②のHDMI出力が弱い問題が解決しているかはわからないのが怖いところです。
ATEM Mini ProにするとBlackmagic Design純正のサブモニタも活用できます。
カメラのモニタリングや、SDカードへのFULL HD録画などサポート。これで配信録画も完ぺき。とはいえ、②のプロジェクター出力については未知数です。
そして、ここまで書いたのですが、知人からATEM MINIを超えたビデオスイッチャーを教えてもらいました。それを実際に配信環境で使ったところ、もうAtem Miniシリーズには戻れそうにありません。
4. 結局はRoland V-8HD
最強のビデオスイッチャーだと、思ったのが、『Roland V-8HD』。
使って分かった、最強の使いやすさ。僕に必要な機能がすべて網羅されていました。
特筆すべきは、機能の豊富さです。
①入力8系統+出力3系統+USB録画+Audio入力
②すべてのカメラ+映像の事前プレビュー画面完備
③PinPのサイズや場所をリアルタイムで変更可能かつ2系統出力
④PinPがフェードイン/フェードアウトに対応
④プロジェクターに出力可能(実績)
もちろん、使い込めばもっとできることは増えそうですが現状これだけの利点がありました。
もちろん価格的には大きな差があります。それでも、Atem Mini Pro +純正モニターで15万円使うなら、これに28万円使ったほうがメリット大きいと正直に思いました。とはいえ、入力がHDMIのみで音声入力にXLRが使えない、1系統しか入力できないデメリットもあります。それを踏まえても、総合力で右に出るものは無さそうです。
ただ、高いですね。。。
先日の配信環境では
- ・カメラ×3台
- ・PC×2台
- ・オンライン配信(ZOOM)
- ・プロジェクター出力(現場)
というシステムを組みました。
音声/映像を必要な装置で振り分けながら、配信しました。
登壇者が5人いたため、PinPを2つ組み合わせて3画面を一度に表示するなど役立ち、もうこれしかない…となってしまったところです。
5. さいごに
オンライン配信を複数カメラで事業的に行うなら、最適解はRolandのV-8HDという結論になりました。
とはいえ、品薄が続いている関係で今注文しても11月入荷だとか。そのころにまだこの配信事業に需要があるかは謎ですが、リアルの場とハイブリッドで活用できたら面白いな、と思いました。
まず、Atem Miniを検討している人はカメラモニタリング機能が付いたAtem Mini Proがおすすめです。そして、本気で配信補助をしたい場合Rolandに行きましょう。とりあえず配信をしてみたい人以外に、ATEM Miniはおすすめできません。
以上、Atem MiniやAtem Mini Pro、Atem Mini Pro ISOを購入検討している人の参考になれば、幸いです。
コメント
大変参考になりました。
記事の公開ありがとうございます。
一つ質問させていただけたらと思います。
文化センターでの配線図について、音声のハウリング対策はどのようにされたでしょうか。
私の職場で講演会や研修実施のため配線を考えています。
50枚程度の会議室で、室内にお客さんを入れた上で配信もしたいと思っています。
実験したとこら、会場音響をマイクが拾ってしまうようで、会場音響からループしてるようなハウリングが発生しています。
ホールでされた対策があればご教示いただきたいのと、当方の問題について知見をいただけたら幸いです。
えんさま
コメントありがとうございます。
音声はおっしゃる通りで、会場音響と配信音響はしっかり考えないとハウリングしますね。僕の配線環境は、「会場音響で使うマイク出力を、分岐させてシステム入力に併用する」が最適かと思います。参考までに。
もし必要であれば、業務としてサポートもしているのでまずは問い合わせしてくださいませ。
ナカニシさま
返信ありがとうございます。
ご指摘の形で組んでみて、概ね配信に耐えうる環境ができました。
ケーブルが3.5mmステレオなので無音時にノイズが少し出ます。
もう少し工夫してみたいと思います。
ありがとうございました。
お役にたてて何よりです。また何かありましたら、コメントくださいね。では。