どうも、ミツヒコ(@monotolife)です。
“消費されないデニムを届ける” そんな強い想いを持って岡山県児島で立ち上げられたブランド『EVERY DENIM』が作る、新しい拠点を見学させてもらいました。彼らが手掛けるデニム販売所と、宿泊施設やコーヒースタンドを複合した施設ができるみたいです。しかも施設はオーシャンビュー。
現場を見学させてもらったら、ものづくりと消費者を繋ぐ新しい形が見えてきました。僕、彼らの考え方が好きです。
店舗を持たないデニムブランド『EVERY DENIM』のこと
2015年に岡山で誕生した『EVERY DENIM』。彼らは経済誌「Forbes」による「アジアを代表する30歳未満の若者30人」への選出や、「ガイアの夜明け(テレビ東京)」での特集など、多数のマスメディアに取り上げられています。
ブランド誕生のきっかけは、兄弟が大学在学時に訪れた岡山のデニム工場。
ものづくりを行う職人さんのかっこよさに圧倒され、職人さんや経営者の方の想いを取材して発信する、ジーンズ専門ウェブメディア「EVERY DENIM MAGAZINE」からスタートしました。その後岡山・児島の工場と直接製品の開発を行いながら、店舗を持たずに全国各地のゲストハウスやコミュニティスペースへ足を運んで直接デニムを届けてきました。
2017年には「移動型販売」にチャレンジするためににクラウドファンディングで支援を求め、372口・計776万円を集め全国キャラバン販売を実行。そんな旅の様子ははウェブメディア「NUET」にて連載されていました。ここまでで、人を巻き込む力の強さをヒシヒシ感じます。
リンク:EVERY DENIM山脇の「心を満たす47都道府県の旅」
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もう一つ。EVERY DENIMのサイトにはこんな言葉が掲げられています。
最高のデニムのために僕らがすべきこと。
引用:EVERY DENIM公式
生産者である工場の人たちと直接顔を合わせることで、
素材や作り手の想いついて誰よりも熱く話せること。
そんな熱い気持ちを、生の声で伝えるために、
全国各地を旅しながらデニムを届け続けること。
たくさん履いたデニムに刻まれるシワは、
ともに人生を歩んだという証。
大切に作られて、大切に届けられ、大切に使われる。
その想いの分だけ、形に残る、心に残る、
いつまでも思い出に残る。
デニムが作られ使い手に渡る長い道のりの中で、
関わるすべての人に”残る”一本を生み出し続けたいです。
EVERY DENIMを通じて、作り手と使い手が
ともに心を通い合わせることができたのなら、
僕らにとってそれ以上の喜びはありません。
僕がすごいと感じたのは、彼らは沢山の人に会いに行ったこと。そして人と繋がり、考え方を学び、想いを交換していく作業を47都道府県で続けたこと。販売しながら、交流をする。愛があるものづくりを繋いで、想いを伝えていく。すごく魅力的なブランドだと感じます。
そんな旅を終えた彼らが次に感じたことが、「自分たちの拠点を作り、迎え入れる側になりたい」でした。
瀬戸内海を望む新たな拠点『デニムホステル Float』
場所は岡山県倉敷市児島。目の前には瀬戸内海と、遠くに臨む瀬戸大橋。
僕の感想を一言で書くと「一等地」。素晴らしい場所と空気感でした。
建物もまた良い。かつては企業の保養所だったそうです。この中に、デニム販売所はもちろん宿泊施設やカフェも併設するようです。
大きく6つに分けられるセクションは
- EVERY DENIMの全製品がオーダーできる「Show Room」
- 全部屋から瀬戸内海が見渡せる「Bed Room」
- ゆったりとくつろげる「Cafe Lounge」
- 外で心地よい風に当たれる「Wood Terrace」
- 47都道府県旅の軌跡を知れる「えぶり号」
- 街の紹介とデニム工場見学の窓口
と、多岐に渡るワクワクが詰まっています。9月21日の開業に向けて準備が進んでいました。内装もデニムホステルの名にふさわしく、デニムによる壁紙を予定。ちょうど当日から作業開始だったようで、職人さんが壁に併せてデニムを貼り合わせていました。
廊下や各宿泊部屋は、これから。
畳の縁にも、デニム。こういう細かなこだわりが気持ちいい。
ちょっと覗かせてもらった宿泊部屋。窓から見える海が優しい。
作業自体はまだまだここから佳境の雰囲気で、運び出すものが部屋に沢山あるし資材も平置きしてあるような状況。雑多に見えるはずなのに、どこか空気が軟らかく感じるのはきっとすべての窓から瀬戸内海が見えるから。とても良い雰囲気の場所でした。
地域の技術力を、共に活かす。
拠点を持つ彼らの想い。「関わる人が増えてくれて、楽しんでくれる人が増えてくれてこそ、この場所をつくる意味がある。」そんな彼らのものづくりは、常に地域と共にあります。
見学した時に試着させてもらったデニムシャツ「Pride」。
適度な厚みと、シルクのような手触り。とてもきれいな光沢に驚きました。デニムっぽくないなと言うのが最初の感想。その理由は素材にありました。
使われているのは創業78年、新素材を生み出し続けたテキスタイルメーカー「SHOWA」が3年の月日をかけて開発したナイロンデニム。製品ページで記されていた特性は
- 1日中着ていても疲れないストレッチ性
- 軽くてシワになりにくいので毎日着れる
- 部屋干し3時間程度で乾く速乾性
- ポケットが付いているので小物を収納できる
洗っても3時間で乾くとは、旅する時に欲しかった。左右の腰近くにポケットも配置されていたので、薄いジャケット風に羽織ることもできるなと思いました。この製品も発売時にクラウドファンディングにより123人、計223万円の支援を受けて成立しています。素晴らしい。
そして今回拠点を作るために立ち上げたクラウドファンディングでは、新作のジーンズ「Spoke」を発表。
明治25年創業。デニムの一大産地・広島県福山市で、120年以上に渡り糸を染め続けてきた老舗染め工場「坂本デニム」による、天然藍を100%使用した糸。
引用:Readyfor プロジェクトページ
その糸を用い、同じく福山で明治時代から生地織りに関わる老舗工場「篠原テキスタイル」が織り上げた、独特の厚みと柔らかさを持つデニム生地。
シルエットは程よくスリムなストレート。見た目においてまっすぐなきれいさを大事にしました。
EVERY DENIM製品の「真ん中」を飾る、時代に左右されない本格派デニム「Spoke」の誕生です。
僕の地元福山のデニムとは、なんだか嬉しくなってしまいます。
瀬戸内が、面白くなってくる。
場所を作る力。ものを作る力。イメージを形にしていく人に出会うと、すごく大きなエネルギーをもらえる気がします。快く見学を受け入れていただいたお礼に、少しでもこのプロジェクトが僕の周りに広がってくれたら嬉しいと思い今回記事を書きました。
僕がまだ知らなかったものづくりの次の段階。
地元府中市・福山市といった小さな枠から、備後地方・瀬戸内といった大きな枠組みで「消費されないものづくり」が増えていったら面白いだろうなと、僕の頭の中もワクワクしてきました。ものづくりは、まだまだ職人にしかできない世界がある。
せっかく僕が今フリーで活動しているので、この期間に小さな種が撒けたらと思っています。是非、みなさんもこのプロジェクトを覗いてみてください。
クラウドファンディングページ:
EVERY DENIM 公式ページ:
それでは、また。
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