中判デジタルカメラの富士フイルムGFX100Ⅱを購入しようと思っていたのに、気づいたら購入していたPLAUBEL makina 670。
たまに起こる衝動的で短期的な、あっという間だけど奇跡的な出会い。頭の中の整理も兼ねて残しておきます。そういえば、ブログ記事100本目。いつもご愛読ありがとうございます。
目次
1. PLAUBEL makina 670
どうも、ミツヒコ(@monotolife)です。
ネットの海で出会い、そのデザインに一目惚れしたカメラ PLAUBEL makina 670。1902年創業のPLAUBEL社と日本のドイグループによって1979年に発売された、NIKON製ニッコールレンズ搭載の6×7サイズの中判カメラPLAUBEL makina67の後継機。下記サイトに詳しく説明がありましたので、詳細は省略。
ドイツのカメラメーカープラウベルが日本のドイグループに買収された後、創始者の土居君雄氏がニッコールレンズ搭載を決定しボディはコニカ設計部(内田康男氏)によって設計された純日本製のカメラです。
https://nikomat.org/priv/camera/mednikkor/makina/makina.html
1983年11月に発売されたのがPLAUBEL makina 670です。当時の価格は187,000円。
67から670への変更点は
- 120フィルムと220フィルムを切り替えて利用可能
- 巻き上げレバーが2回操作へ変更
- ボディを畳んだ際にシャッターロック
が挙げられます。1984年にマミヤが倒産したことで1986年に生産休止となりました。電子化が進んでいた時代において、完全機械式のレンズシャッター。露出計にのみ電池を使いますが電池がなくても撮影できます。
2. どうして買ってしまったのか
PLAUBEL makina 670は非常にシンプルで、だけど僕にとっては画期的。
惚れ込んだポイントはいくつもあって
- デザインが好き
- 中判カメラなのに蛇腹を折り畳めばコンパクト
- 機械式で電池不要のシャッター
- レンジファインダーによる二重窓フォーカス合わせ
- ブローニーフィルム 120で10枚しか撮れない
- レンズ一体型で44mm F2.8のニッコールレンズ
というところ。逆に重量1350gは、持ち運ぶのにドキドキします。
レンズカバーは割れがありますが、利用には問題なし。67の方が赤文字で目立つ数字が入っていたり、ボディがフラットだったりアイコニックですね。一方で670は個体数が4000台程度と少なく、あらためて大切に使ってあげたいと思います。
ちなみに、もう一つ候補に富士フイルムGF670もありました。これは携行性やメンテナンス性に関して素晴らしいのですが、カバーのデザイン含めて現代のカメラ的。それよりもPLAUBELのデザインに押し切られてしまいました。
また、PLAUBEL makina 670を購入する人の多くが写真家 石川直樹さんの名前を口にしていました。
エベレストをはじめ7大陸最高峰の登頂に成功しながらその山頂までの景色をすべでフィルムカメラで残し続けている、というエピソードが信じられない。その多くが、PLAUBEL makina 670で撮影されてきたそうです。
とは言っても購入する上で気になったのは、中判フィルムカメラにかかるコストと定期的なオーバーホールについて。もう少しメモしてみます
撮影コスト
120フィルムと220フィルムの違いは1本で撮れる枚数。120フィルムは長さ83cmに対して、220フィルムは166cm。この差で倍の20枚撮影が可能になります。220フィルムがあれば少し撮影コストが下げれたと思うのですが、現在はほぼ販売なし。
フィルム自体も日々高騰しているようです。
Amazonでの価格を考慮するとKodak のカラーネガティブフィルム一択でした。1本1500円弱のため、1枚当たりの撮影コストは150円。ネガではなくリバーサルフィルムの富士フイルム PROVIA 100Fは、価格が倍になります。1本あたり約3,000円。1枚300円。
- ネガ|色が反転した状態で撮影。露光の許容範囲が広く現像時に調整幅がある
- リバーサル|色の再現性が高く、撮影した状態で現像されることになる
という両者の違いもあるそうです。
新しく作られたフィルムもありました。
撮影後の現像に関して、例えば下記サイトでは約3,000円。1枚当たり300円。
山本写真館さんではもう少し安いのかな。
書いていて震えますね。
今まではデジタルなのでカメラを買えばいくらでも撮影ができました。刻々と変わるシーンを撮る時には連写してみたり、1日1,000枚撮影することも。仮にこれをフィルムで計算すると、100本のフィルムで約30万円かかることになります。デジタルカメラってすごいですね。
メンテナンスについて
合わせて考えないといけないのが、メンテナンスやオーバーホール。
特に蛇腹は使い続けると必ず破れると思うので、修理が必要となります。小さな穴(ピンホール)が開くだけで、写真に影響しますからね。また、露出計不動の個体もネット上にはたくさんありました。色々調べると、どれも1万円〜の修理費用になるそう。
さらに蛇腹の収縮によって焦点距離を調整するため、その部分に不具合があることもあるとか。
使っていけばどうしても生まれるメンテナンス費用。このカメラを使うからには覚悟しておかないといけないようです。この個体が素直であることを祈ります。。
3. 付属品も味わい深い
今回の中古品には、ストラップとグリップが付属していました。
調整部にPLAUBELの文字が入っているのが可愛い。長さはたすき掛けできる程度なので、120cmくらいでしょうか。調整部の素材が金属なので、当たって傷がつかないようソフトケースに入れたいと思います。純正のケースも少しお高いけど本革とのこと。
ハンドグリップにもロゴとPLAUBELの文字。ゴムが少し剥がれていましたが、使う上では問題なし。ずっしりした重量感と質感はとても高いと感じました。
裏ネジも丁寧な作りで、少し斜めに切られた部分の持ちやすさも素敵です。接着ゴムの剥離なのか、少し汚れていた部分は爪楊枝で清掃しました。
満足。
グリップがあるとホールド感が増して安心な分、重量はさらに増えて1.5kg強になります。本体は公称値1354gなので、プラス200gですね。持ち運びにはずっしり重いですが、指がかかると安心感が違います。
良いものがあれば、フードとケースも購入してしまいそう。
4. さいごに
今日は届いた日に思わず書いてしまったので、使用感はまた次回の記事で。
それにしても、比較すれば圧倒的にデジタルの方が使いやすいのに、中判フィルムカメラを購入してしまったこと。1年前の僕にはおおよそ考えられません。
フィルムカメラに興味を持ったきっかけは知人がLieca M10を購入したことを知ってから。
二重窓を使ったレンジファインダー機で、被写体との距離を意識しはじめたという言葉に感化され、レンジファインダー機への憧れを持ちはじめます。旅の写真はX100Fを頻繁に使っているのですが、唯一Liecaと違うのが焦点距離をレンズで確認できないこと。なんというか、それがムズムズしました。
自分の撮影において、どれだけ被写体と向き合っているだろう。写真を撮るって、なんだろう。最近はそんなことをたまに考えていて。
そんな中で、今までとは全く違う撮影体験に切り替えてみたいと思って購入に踏み切りました。
デジタルカメラでもルールを作れば
- 1日に10回しかシャッターを切らない
- 液晶はOFFにして確認しない
- マニュアル撮影に徹する
- レンズを単焦点固定にする
という撮影もできて擬似的なフィルム体験はできると思いました。だけど、1度体験してみないと擬似体験はどこまで行っても擬似体験。
そんなモヤモヤを払拭するために、まずは1度使ってみようと思います。
シャッター音も、しっかり「カシャッ」と鳴ってくれるのがいい。
久しぶりに、作例もまた載せられたら。まずはつい左手でフォーカスリングを探して、蛇腹に触ってしまう癖を直していきたいです。今月GFX100Ⅱも購入するとGFレンズ買う予算が尽きてしまうのが悩みどころですが、なんとかなるでしょう。
[2024.03.20 追記]
プラウベルマキナ、とっても楽しい撮影体験でした。
実家に犬と猫が居るのですが、撮ろうとすると必ず近づいてくるので「来ないでー!」と言いながら何度も場所を入れ替わりました。1.5mの距離を確認して、何度も表情を見て、一瞬の判断でシャッターを切る。これはデジタルでは出来ない。
最初のフィルムは近くのカメラ屋さんへ。1週間程度で現像できて、1,200円でした。どこも1週間〜3週間はかかるみたい。届くのが楽しみ。
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